労災の保険給付(事例の場合)
知り合いが過度のストレスにより仕事中に意識を失うという事件を聞いたのが先日。
その経緯を本人に少し聞くことができた。
1回目の失神
仕事中に意識を失い救急搬送。手当を受け帰宅。3日間仕事を休む。
2回目の失神
1回目の失神から3週間後、2回目の失神。救急搬送。入院及び7日間仕事を休む。
現在復帰して仕事内容を配慮してもらい負荷の少ない作業。
この事例の場合、受けられる保険給付は次のものがある。
療養補償給付
労災指定病院等で原則として無償で治療を受けることができる。指定病院以外で治療を受けた時はのちに費用の支払い(療養の費用の給付)を受けることができる。
休業補償給付
治療のために働くことができす賃金を受けられない場合に、休業の4日目から1日につき80%相当額が支給される。
(1から3日目までは事業主が労働基準法による休業補償を支払う。賃金の60%相当額)
事例の場合労災病院ではなかったため、療養の費用の給付の対象。休業補償給付については、1回目の失神で3日間の休み。2回目の失神は1回目の失神と同じ災害とみなせるため1日目(通算して休みが4日目)から休業補償給付が支給される。
とまあ、給付についてはこのような内容だ。
しかし、1番の問題は本人が労災申請を出すのを躊躇しているところだ。本人は倒れて休んでしまったことに負い目を感じている。だが、倒れた根本原因は会社にあり、正当な権利の上請求ができるのだ。
知ってほしいのは労災認定は会社に金銭的損失をもたらすことはほとんどない(内容によるが)
労働者・申請を受け付ける直属の上司など、労災が認定されると会社の金銭的損失が生まれるのではないかと考える方がいる。しかし、労災の給付は国から支給される。会社自身が払うわけではないため金銭的損失はない。
(ただし、メリット制という制度があり一定数の労働災害があれば保険料は高くなり、逆に労働災害が少なければ保険料は安くなる。これは労働災害が1件でもあると保険料高くなる。というわけではないので安心してほしい)
この事例は、のちに会社の配慮があり本人も乗り気ではないのであまり強くは勧めないが、3回目があるのであれば話は別だ。何かあってからでは遅い。話を聞く中で、労働者の弱みにつけこんで労災を取らせまいとするところがみえているので、知り合いを説得できないのがただ悔しい。